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『決断力 』

書名:『決断力 』
著者:羽生善治 ( Habu Yoshiharu )
版元:角川ONEテーマ
価格:¥686
読書場所:電車、家
20060129_book

著者・羽生善治さんは、言わずと知れたプロ棋士。
1996年、名人・竜王・棋聖・王位・王座・棋王・王将の7冠を達成した男。
真剣勝負の第一線にいて現在なお四冠(王位・王座・棋王・王将)。
日本将棋連盟HPによると王将戦・佐藤康光 棋聖と対戦し、現在3連勝中。
特別な思考手順をふんでいるのでは? と興味が沸く。
本書・『決断力 』では、天才的ノウハウが解き明かされるのでは!? と期待した。

達人がコツを聞かれて答える話は
(なーんだ、当たり前じゃないですか)ということが少なくない。
「必要なことを手を抜かずにやるんです」とか、
「例えば……など。ほら、特別なことではありませよ」など。
たとえ門外不出の奥義・企業秘密・専売特許・特別技法などなどがあったとしても、
「教えてください」と聞かれて、「はいはい、これこれしかじかですヨ。」なんて、
簡単には明かさない・教えないのは想像に難くない。
どこの世界でも、力を出し切らなければ最前線でトップを走り続けることは難しい。
戦術は分析・研究され、真似をされ、更に改良されたものを出す者も現れる。
長期に渡ってトップを維持するためには、更なる高みを目指して励み、
最新情報インプット・研究・開発を怠らないことが必要だ。

本書には、一見(なーんだ、当たり前)的な言葉が並ぶ。
これらは羽生さんの立場から「決断力」を培う心得を含めて語られる。
棋士・将棋伝道役・一般の人と同じ立場から、
ふだんの習慣・生き方・考え方などに関わる心得として。

(なーんだ、当たり前)というのは、例えばこんな内容。
→何年間も同じ情熱・気力・モチベーションを傾け、
 自分を信じて継続できることが才能である。
これらは、どこかで聞いた話のような気がする。
簡単そうに思うが、実践すると継続するのは難しい。
スランプに陥ったり、壁にぶつかったり、思うようにいかない時があったり、
ほかの仲間は苦労もせずに楽してやっているように思えたり……、
そもそも私は向いていないと不安になったり……、などによって諦めてしまう。
やりたい・楽しみたい・結果を出したい、それらは誰かに強制されるものではない。
(やーめた)っていう決断は自分がすること。
ハードルを上げるのも、モチベーションを高めるのも自分次第ということだ。

単純・明快(なーんだ、当たり前)、である。

プロ棋士・羽生さんは自分も人間だと言う。
何となく、同じ人間だから頑張れば同じようにやれそうな気がするが、
できそうでできない人が多いのかもしれない。
多くの人は、楽な道を探し、地道に歩もうとしない。

(うーん、いろんなことに通じる考え方と実践論で面白いなぁ)と思い、
羽生さんが選んだ言葉や意図を考えながら本書を3回読み返した。
文章のところどころに棋士ならではの言い回しや捉え方、きらりと光る言葉が現れる。
各章の小見出しの終わりも、わかりよく纏めらてある。
だが、きらりと光る言葉たちと比べると、力が弱い感じの纏め箇所もあり。
何かしっくりこない感覚を受けるのは気のせいか……。
勿論、羽生さんはタイトル戦を連戦し、最先端の研究を続けている現実があり、
その中で執筆・チェックしているのだろうと思うと頭が下がる。

彼はギリギリの真剣勝負の世界に身をおく棋士だから、
漠然と(天才棋士は人間離れした思考能力があるんだろうなぁ)と考えていた人に、
彼もまた普通と変わらない人間であることに思い至らせる。
ふだんから人生で大切なものを明らかにし、意欲を持ち、楽しみながら継続する意識、
先入観を排し、自分で考え、毎日少しずつ努力して知恵とする習慣、
リスクを恐れず自分の直感を信じ、簡単・単純に考えて粘り強く対処していくなど、
すべての人に有効な、これらの重要性に気づかせてくれる。
何となく生きたい人、何かやりたい人にもこの本を勧めたいが、
それこそボク自身が小学生のときに読みたかったなぁと思う一冊だ。
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